舌接触補助床(PAP)による嚥下機能回復

  • 堀 一浩
    新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野
  • 小野 高裕
    新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Dysphagia rehabilitation with palatal augmentation prosthesis (PAP)
  • ゼツ セッショク ホジョショウ(PAP)ニ ヨル エンカ キノウ カイフク

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抄録

<p> 摂食嚥下リハビリテーションにおける歯科医師に期待される役割の一つに,補綴的なアプローチが挙げられる.このアプローチの中では,有床義歯の製作・調整だけではなく舌接触補助床(PAP)をはじめとするさまざまな装置が用いられる.舌接触補助床とは,舌機能の低下した患者に対して舌機能の代償を図るために装着される,上顎の床タイプの補綴装置のことである.こういった装置の製作・調整においては,時として専門的な補綴に関する知識や経験・技術を必要とする.また,その適応を適切に判断することも重要となる.補綴装置はうまく使用していただかないと効果を発揮しないだけでなく,不適合な装置はかえって機能を阻害する可能性がある.</p><p> 一方,摂食嚥下リハビリテーションはチーム医療が基本であり,多職種によるさまざまなアプローチを組み合わせて行われることが多い.PAPを用いた補綴的なアプローチだけではなく,各職種と連携して筋可動域訓練や筋負荷訓練といった間接訓練や,嚥下姿勢や食事の調整といった直接訓練なども検討してリハビリテーションプログラムに組み入れられる必要がある.保険医療におけるPAPの適用が摂食機能療法との併用を前提としているのも,こうした機能訓練や栄養管理,リスク管理がなければPAPの効果を十分に上げられないからである.</p><p> 本稿では,PAPを用いた摂食嚥下リハビリテーションの実際について,装置の製作方法やその際の注意点について解説するとともに,あわせて行われるリハビリテーションなどについても言及し,より効果的な嚥下機能回復を図るための方策を考えたい.また,その効果や新たな取り組みについて,検討する.</p>

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