二次性Burning Mouth Syndromeに筋膜トリガーポイントマッサージ療法を適応した一例

DOI
  • 原 節宏
    日本歯科大学附属病院総合診療科顎関節症診療センター
  • 滑川 初枝
    日本歯科大学附属病院総合診療科顎関節症診療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Adaptation of myofascial trigger point massage therapy for secondary burning mouth syndrome: a case report

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抄録

症例の概要:患者は33歳女性.主訴:約1年前より顎部,頬部,側頭部,頚部,肩部の自発痛,約6ヶ月前より舌の辺縁部の自発痛およびしびれ感,目の奥の痛み,味覚障害を自覚.整形外科,脳神経外科,耳鼻咽喉科,眼科を受診するも異常所見は認められず,歯科にて加療するも改善なく,当院顎関節症診療センターを受診した.初診時の味覚感度は塩味,酸味,苦味について舌全域で4~6を示し,味覚の低下が認められた.また,舌に強い圧痛が認められた.CMI領域はIIであった.筋膜性疼痛症候群の診断のもと,頚部・顎部・側頭部・顔面部・舌を含む口腔部の筋に対して阻血(虚血)性圧迫,および圧搾マッサージを施術し,運動療法と行動治療を併用した.治療開始後約4ヶ月で舌の症状,味覚障害が改善,約1年でその他の症状も全て消退した.<br>考察:舌筋の筋膜性疼痛,および胸鎖乳突筋,内側翼突筋,顎舌骨筋をトリガーポイントとする関連痛が舌に生じている場合は長期にわたる灼熱性疼痛やしびれ感が舌に生じる例があり,局所に原因がある口腔内灼熱性疼痛症候群であるにもかかわらず,一次性と診断することになりかねない.<br>結論:阻血(虚血)性圧迫と圧搾マッサージは舌筋における筋膜性疼痛の非侵襲的治療法として有用であった.また,二次性口腔内灼熱性疼痛症候群の要因としては認識されていないものの,筋膜性疼痛症候群による舌痛症状を局所的要因のひとつとして考慮するべきと思われる.

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