潰瘍性大腸炎における特異的腸管局所免疫機構の変動に関する研究

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  • カイヨウセイ ダイチョウエン ニ オケル トクイテキ チョウカン キョクショ

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抄録

潰瘍性大腸炎の病態を明らかにする目的で,本症を中心に蛍光抗体法直接法により,腸粘膜における免疫グロブリン含有細胞数(IgA, IgM, IgG)およびその分泌像の変動について検討した.<br>潰瘍性大腸炎の病変部局所においては,活動期・非活動期とも細胞数の増加や分泌像が高率にみられるなど特異的腸管局所免疫機構の亢進が認められた.大腸クローン病や放射線結腸炎の病変部局所においても類似の所見を呈したことより,本症は腸管局所免疫能の一次的な低下により発症する疾患ではなく,これらの変動は炎症に基づく二次的現象と思われた.<br>潰瘍性大腸炎の活動期・非活動期・大腸全摘後症例の上位空腸においても特異的腸管局所免疫機構の亢進が認められた.しかし,その他の大腸疾患や消化管閉塞症の上位空腸においても亢進した局所免疫能がみられたことより,この亢進状態は潰瘍性大腸炎に特徴的なものではないと思われた.

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