特発性食道破裂の1治験例

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タイトル別名
  • SPONTANEOUS RUPTURE OF THE ESOPHAGUS SUCCESSFULLY TREATED BY T-TUBE DRAINAGE -REPORT OF A CASE-
  • トクハツセイ ショクドウ ハレツ ノ 1 チケンレイ

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説明

特発性食道破裂は通常飲酒の後の嘔吐とともに激しい上腹部痛,胸部痛で始まり,多くの場合呼吸困難,チアノーゼ,ショックへと移行する.破裂が縦隔内にとどまれば,縦隔気腫,縦隔洞炎を起こし循環障害を呈し,胸腔内に穿破すれば水気胸を呈する.本症が念頭にあれば診断は必ずしも困難ではないが,実際には稀なため確定診断が遅れることが多い.<br>われわれは発症後10時間で水気胸が判明するやいなやショック状態に陥った52歳,男性に対し,胸腔ドレナージを行ない食物残渣を含んだ多量の滲出液を認め,はじめて本症と診断できた症例を経験した.全身状態が不良なため,胃瘻,小腸栄養瘻造設にとどめ保存的に様子を観察したが,膿胸を発生した.発症後7日目開胸的に胸腔内を充分洗浄し, 2本のドレーンとともに食道破裂孔に胆道用Tチューブを挿入し,救命し得た.本例の如き一期的縫合閉鎖の時期を逸した症例では,確実なドレナージを行ない早く膿胸を限局させることが重要である.本例は術後2年まで食道透視で破裂部の治癒状態を観察したところ器質的狭窄はなく,元気に社会復帰している.

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