胃癌における血清CEA値測定の臨床病理学的意義について

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  • CLINICO-PATHOLOGICAL EVALUATION OF PLASMA CEA LEVELS IN GASTRIC CANCER
  • イガン ニ オケル ケッセイ CEAチ ソクテイ ノ リンショウ ビョウリガク

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癌の血清学的診断法の一つとしてCEA値は重要である.胃癌144例につき,術前血清CEA値を測定し, CEA陽性胃癌と陰性胃癌とに分け,臨床病理学的に比較検討し,その臨床的意義につき考察した.血清CEA値は,ダイナボット社のサンドイッチ法にて測定し, 2.5ng/ml以下を正常値とした.胃癌144例中,術前に血清CEA値が異常を示したものは39例(27.1%)に認められた. Stage別には進行度が増すにつれ血清CEA陽性率は上昇する傾向が認められる.病型の肉眼分類別にはBorr. II型において, 47.8%の最も高い陽性率を示し0型(14.7%), IV型(17.6%), V型(17.6%)と比べ推計学的に有意差が認められた.胃壁の深達度別には, m, smの早期癌症例では19.4%, pm以上の進行癌では27.2%であり,早期の症例で低い傾向が認められる.次に肝転移の有無別には無転移例が23.9%,有転移例が70.0%の陽性率を示し,肝転移例で有意の陽性率の上昇が認められた.組織型別にはpap, tub1の分化型腺癌では45.7%, tub2, por, sig, muc等の低分化型腺癌では16.1%と,分化型腺癌に有意に高い陽性率が認められる.さらに胃壁の腸上皮化生の程度別に検討してみると, -~+の軽度の群では8.1%と陽性率は低く, 廾~卅の中等度以上の群では, 42.2%と高く両者間に有意差が認められた.治癒切除がなされた94例の術前血清CEA陽性率は21.1%で非治癒切除,非切除50例のそれは38%であり両老間に有意差が認められる.術後にも血清CEA値を測定しえたのは48例であり,これらの検討から術後経過中の血清CEA値は再発の一つの示標となると考えられた.

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