肺癌におけるC. E. A.の臨床的検討

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タイトル別名
  • CLINICAL EVALUATION OF CARCINOEMBRYONIC ANTIGEN IN PATIENTS WITH CARCINOMA OF THE LUNG
  • ハイガン ニ オケル C E A ノ リンショウテキ ケントウ

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説明

原発性肺癌患者46例についてCEAを測定しその臨床的意味について検討した. CEAはDinabot Kit (Sandwich法)を用いて5ng/ml以上を陽性とした.良性肺疾患症例についてもコントロールとしてCEAを測定したが,気管支拡張症例の3ng/mlが最高で他は1~2ng/mlであった.また, CEA陽性例の88%はJ. J. C. stage III~IVの進行癌であり,組織型別にみると腺癌での陽性率高く50%,扁平上皮癌24%,未分化癌29%であった. T, N, M別とCEAとの関係はT1とT2T3, N0N1とN2ではCEA陽性率に有意差はあったが, M0, M1群では明確でなかった.分化度別にみると扁平上皮癌では高分化型にCEA陽性率高かったが,腺癌では分化度に著変なかった.未分化癌,特に燕麦型では陽性例なかった.治癒手術別にみるとCEA陽性例はstage進行癌が多い事からも治癒手術例は少く,非治癒手術群の71%はCEA陽性であった.生体例のPerfomance statusの1指標として総蛋白量よりCEAとの関係をみると7g/dlで差あり,又SK-SD,カンジダ, PPD, PHAの4つの遅延型皮膚反応とCEAの関係はCEA陽性例では4つの皮膚反応の陽性数が減少する傾向にあった.術後経過で癌腫切除後すぐにCEA正常化したものは高分化扁平上皮癌例であったが腺癌例では早期に再上昇みられ, CEA陽性になってからの予後は7カ月前後で臨床上,検査上転移が証明された後にCEA高値を示した. CEAをマーカーにしての再切除例はなかった.以上より本検査は癌の進行度および治療効果の判定及び経過観察のモニターとしての有用性は認められるが,本検査は早期の癌スクリーング検査としてはまだ問題があると思われた.

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