重症筋無力症と鑑別困難であったEaton-Lambert症候群の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF SMALL CELL CARCINOMA OF THE LUNG WITH EATON-LAMBERT SYNDROME, WHICH SIMULATED MYASTHENIA GRAVIS ON ELECTROMYOGRAM PREOPERATIVELY
  • ジュウショウキン ムリョクショウ ト カンベツ コンナン デ アッタ Eaton-Lambert ショウコウグン ノ 1レイ

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抄録

症例は58歳男性で,昭和56年9月頃より嗄声が出現し声帯ポリープ摘出術を受けた.この頃より上下肢筋力と咀嚼力の低下,臀筋・大腿筋群の萎縮が著明となり内科で精査の結果,異所性胸腺腫と真性重症筋無力症の合併が疑われ外科転科となり, 11月12日症状の改善を期待し胸腺及び縦隔腫瘍摘出術を施行した.胸腺は術中病理組織にて大部分は脂肪に置換しており悪性所見はなかった.さらに縦隔を検索すると上大静脈後面に鶏卵大,上行大動脈後面にソラ豆大,主肺動脈後面に大豆大,左肺門部にソラ豆大,大動脈弓下の左迷走神経に浸潤性の大豆大の腫瘍を認めた.前三者は摘出した.後二者は摘出不能であった.ステロイド大量投与,抗コリエステラーゼ剤の投与によっても術後人工呼吸器よりの離脱に難渋した.縦隔腫瘍の最終組織診断は,小細胞肺癌中間型であった.筋電図を術後再検したところ術前とは全く異なるwaxingを呈した.筋電図の変化を考慮し,術後診断はEaton-Lambert症候群と判断し抗腫瘍剤,放射線療法と中心静脈栄養を併用し術後150日に呼吸器より離脱できたが,術後8ヵ月で死亡した.今回筋電図上術前waningを示し,術後waxingへと変化したEaton-Lambert症候群と考えられる症例を経験したので報告する.

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