甲状腺癌の肺転移と異時性肺癌の甲状腺転移との一併存例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE REPORT OF DOUBLE CANCER: METASTASIS OF THYROID CANCER TO THE LUNG, FOLLOWED BY METASTASIS OF THE LUNG CANCER TO THE REMAINING THYROID GLAND
  • コウジョウセンガン ノ ハイ テンイ ト イジセイ ハイガン ノ コウジョウセ

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抄録

我々は甲状腺分化癌手術後5年目に肺癌を併発し死亡した症例を経験した.当初,甲状腺癌の肺転移と考えられていたが,剖検により甲状腺癌の肺転移,並びに甲状腺への転移を伴う肺癌の異時性重複癌と判明した.<br> 症例は65歳の男性で,昭和45年12月甲状腺乳頭癌のため根治術を施行した.術後2年目に局所リンパ節に再発が見られ,その後3回頚部リンパ節郭清を施行した.局所リンパ節再発の他は一般状態良好に経過していたが,昭和50年4月全身倦怠感が出現し,胸部X線で右下肺野,左上肺野に円形の腫瘤陰影が認められた.胸水からはadenocarcinoma cellが検出され甲状腺癌の肺転移と診断し治療を行ったが,急速に全身状態が悪化し昭和50年8月9日呼吸不全にて死亡した.<br> 剖検にて,右原発性肺癌とその肺癌の左肺への転移,及び甲状腺癌の両側肺転移と判明した.肺癌は肝,甲状腺等にも転移が認められた.甲状腺癌の局所再発は認められなかった.即ち甲状腺癌と肺癌とが相互に肺と甲状腺に転移した稀な病態であった.

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