穿孔を来した横行結腸平滑筋肉腫の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF PERFORATED LEIOMYOSARCOMA IN THE TRANSVERSE COLON
  • センコウ オ キタシタ オウコウ ケッチョウ ヘイカツキン ニクシュ ノ 1レ

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抄録

結腸における平滑筋肉腫はきわめて稀とされている.今回,穿孔を来した横行結腸の平滑筋肉腫を経験したので文献的考察を加え報告する.<br> 症例: 43歳,男性.既往歴,家族歴:特記すべきことなし.主訴は腹痛である.<br> 現病歴および経過:下腹部に疝痛様の疼痛を訴え急性腹症の診断で入院した.腹部X-P上亜イレウス像を認めた.腹痛消退後の注腸造影では左側横行結腸に約5cmの範囲にわたり軽度の狭窄像,半周性の圧排像の所見を認めた.大腸内視鏡検査では注腸造影の狭窄部に一致して管腔の狭窄および充血がみられ易出血性であった.腹痛が再燃し腹部の膨隆,下血出現時の腹部超音波像では膨隆部に一致しのう腫型の腫瘤を確認した.横行結腸穿孔による限局性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.手術所見:左横行結腸から発育・穿破した小児頭大ののう腫状腫瘤で大網,小腸ループ,腸間膜,後腹膜で被れた腫瘍穿孔による限局性腹膜炎の状態であった.手術は腫瘍を含め横行結腸を口側,肛門側それぞれ10cm切除した.腫瘍の病理組織診断は核分裂像の多い平滑筋肉腫であった.術後は経過良好で普通食摂取可能となる.しかし術後, 1カ月頃から腹痛,腹部膨隆再燃し腫瘍再発の診断で再手術施行,再手術所見は左上腹部を中心とした腫瘍性腹膜炎の状態であった.腫瘍の掻爬術,ドレナージ, MMC 10mg腹腔内投与を行なった.術後,腹部膨満軽減し小康を保つ. ADM 20mg/W腹腔内投与,ピシバニールの全身投与の化学療法を行う.しかし,腫瘍は漸次増大し症状発現後約100日,術後77日にして死亡される.<br> 考案:本例は穿孔を来した横行結腸壁外型の平滑筋肉腫である.穿孔はしたものの術後77日目の早期に死亡されており,本例のごとき発育速度の速いLeiomyosarcomaもあることを報告するとともに腫瘍の早期発見が切望される.

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