肝鎌状間膜内腫瘤の2例

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タイトル別名
  • TWO CASES OF THE TUMORS OF THE LIGAMENTUM FALCIFORME
  • カン カマジョウカン マク ナイ シュリュウ ノ 2レイ

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説明

最近,我々は肝鎌状間膜内の腫瘤を2例経験したが, 1例は未分化癌であり,他の1例は膿瘍であった.<br> 症例1は74歳,女性で浮腫及び腹部腫瘤を主訴に来院した.超音波検査, CTスキャン,肝シンチグラム,血管造影所見より肝腫瘍(肝外発育型)又は肝鎌状間膜内腫瘤の診断にて手術施行した.腫瘤は肝鎌状間膜内に存在し腫瘤切除術を施行した.組織学的には未分化癌であり,転移性腫瘍の可能性が十分に考えられたため精査を行ったが他に異常は認めず,原発巣は不明であった.術後経過は良好であったが,約7ヵ月後に再発を認め死亡した.<br> 症例2は32歳,女性で腹部腫瘤を主訴に来院した.超音波検査, CTスキャン,腹腔鏡所見より肝鎌状間膜内膿瘍を疑い手術施行した.腫瘤直上の腹膜切開とともに膿の流出を認めドレナージ術のみを施行した.細菌学的検査では特に病原性細菌は認めなかった.<br> 文献的には肝円索内の腫瘍は今までに5例の報告を認めるも肝鎌状間膜内の腫瘍の報告は未だない.又,肝鎌状間膜内の膿瘍の報告は,成人例では著者らを含めて3例を見るのみである.以上の極めて稀な肝鎌状間膜内腫瘤の2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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