門脈圧亢進症における肝血管撮影の意義について

書誌事項

タイトル別名
  • モンミャクアツ コウシンショウ ニ オケル カン ケッカン サツエイ ノ イギ
  • 第2報 動脈撮影

この論文をさがす

説明

従来,門脈圧亢進症の手術適応規準として臨床症状,肝機能検査,肝循環動態測定成績などが挙げられてきたが,これを肝血管撮影から論じたものは少ない.著者らは第1報として門脈,肝静脈撮影の意義について報告したが,本報告では動脈撮影に基づいて手術適応規準の1つとなると思われる知見を得たので報告した.<br>著者は31例の動脈造影所見について,まず肝組織との関連を検討した結果,肝線維症と肝硬変症の鑑別は乙'型を除きほぼ可能であつた.しかし肝硬変の組織分類に基づく特徴は明らかでなく症例により所見に差がみられていた.<br>そこで次に肝内動脈像の所見を中間枝,細枝の変化と肝内のvascularity,とくに肝周辺部のvascularityからI~IV型に分類してみた. I型は肝線維症が主に属し,枝の変化は少なく,肝内のvascularityは乏しいか正常のものであり, II~IV型は肝硬変症の所見が分類され, II型は枝の直線化,または蛇行があつても軽度なもので, III型では枝にcork screw像をみるが, II, III型ともに肝周辺部までvascularityが豊富なものとした.これに対しIV型はcork screw像を認め,肝周辺部まで枝が及ばないものとした.この分類による各型の肝の大きさ, BSP, K, Childの分類などを検討すると, I型は別にし, II~IV型の肝硬変症では, II~IV型の順に肝は小さくなり,肝機能に増悪傾向がみられ,また手術成績では術後肝不全死がIV型にみられる結果を得た.<br>即ち,本分類法は肝硬変症の病期または重症度を反映するものであり,とくにIV型は萎縮肝,非代償期またはそれに近い肝硬変の示す像で,手術適応には慎重であるべきものと考えられ,本分類法は門脈圧亢進症における動脈撮影に新たな意義を見出したものと思われる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ