術後胆管内視鏡検査法の合併症とその対策

書誌事項

タイトル別名
  • COMPLICATIONS OF POSTOPERATIVE CHOLEDOCHOSCOPY AND ITS PREVENTION
  • ジュツゴ タンカン ナイシキョウ ケンサホウ ノ ガッペイショウ ト ソノ タ

この論文をさがす

抄録

1978年5月までの過去4年1カ月間に, 79例の胆管遺残結石, 32例の肝内結石症を含む236例のT-tube挿入例に対して,計710回の術後胆管内視鏡検査法(Postoperative Choledochoscopy: POC)を施行し,この間,瘻孔穿孔を8例に,胆管穿孔,十二指腸瘻を各々1例に経験した.瘻孔穿孔例8例中4例が非遺残結石例で, routineのPOC時の遇発症であつたごとく,いずれもT-tube瘻孔に問題のあつたもので, 8例中6例が細小及び腹腔内弯曲瘻孔であつた他,右肝管にT-tubeが挿入されていたものやpenrose drainとT-tubeとの間に共通瘻孔を形成していたものであつた.瘻孔穿孔例8例中,レ線上多量の造影剤の漏出と腹腔内貯瘤が認められたものは3例で,うち1例で横隔膜下膿瘍に進展し,後に腹腔ドレナージが必要とされたが,他は全例抗生物質などによる保存的療法で軽快した.また胆管穿孔の1例は, POC時,三管合流部に巨大結石が嵌頓していたもので,結石による胆管の圧迫壊死をおこしていたため,結石摘出用鉗子の操作中に容易に胆管穿孔をきたしたものと考えられる.十二指腸瘻の形成は肝内結石症の1例にみられたまれな合併症で, T-tube瘻孔の途中より胆道fiberscopeが十二指腸first portionに挿入されるなど複雑な瘻孔形成が認められた.<br>結局,合併症例で再開腹術を必要としたものは3例で,うち1例では前述のごとく腹腔ドレナージがなされた他,右肝管にT-tubeが挿入されていたものと胆管穿孔例では,結石摘出のための再手術が後日なされた.その他遺残結石症の1例で,著しい細小T-tube瘻孔のため胆道fiberscopeの挿入が不能で,再手術による結石摘出が必要であつた.<br>その他のPOCによる合併症は,検査中の疼痛,嘔吐,出血,検査終了後の発熱,下痢などが主なものであつた.これらの合併症例を中心に, Burhenneらの非観血的結石摘出法と対比しながら検討し,直視下に行ない得る本法の有用性と問題点につき若干の考察を加えた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ