胃癌に於ける放射線治癒過程ならびに Waiting period に関する研究

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タイトル別名
  • 胃癌に於ける放射線治癒過程ならびにWaiting periodに関する研究--特に胃生検を中心として
  • イガン ニ オケル ホウシャセン チユ カテイ ナラビニ Waiting pe
  • -特に胃生検を中心として-

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説明

膠着した進行胃癌治療の現状において,手術適応の拡大とより一層の遠隔成績の向上を目的として,昭和42年より併用療法の1つとして手術と放射線療法を組合せ,進行胃癌の術前照射を試み,その優秀性を報告してきたが,著者は放射線による胃癌組織の変化を経時的に観察し,従来より問題の多かつた治癒過程,至適線量,至適待期期間等を解明し,より有効的な照射方法を確立することを目的に研究を行なつた.<BR>結果<BR>1)生検組織で観察された変化は腫瘍全体における組織学的変化をよく反映しており胃生検による効果判定と切除胃による効果判定とがよく合致することが認められた.<BR>2)特に腫瘍自体及び周囲粘膜の軟化に伴い組織学的効果は増強する.従つて腫瘍周囲粘膜の軟化像は,内視鏡による治療効果判定の最も大きな目安となる.<BR>3)照射効果判定には,客観性のある独自の病理組織学的判定基準を設けた.<BR>4)線量の増加こ伴い線維化が進み,そして線維化の程度は治療効果の指標となる.<BR>5)胃生検の立場から胃癌組織に対する最低有効線量は2000radと思われる.<BR>6)照射線量4000radでは癌細胞は著明な原形質の空胞化,核濃縮を示し,原形質の崩壊,癌細胞の破壊が始まり,表層粘膜側では増殖性が減ずる.<BR>7)照射線量6000-8000radでは,残存癌細胞は増殖した結合組織にとじこめられ活動出来ない状態(冬眠細胞)となる.<BR>8)術前照射至適線量は4000radと考える.<BR>9)待期期間は照射線量4000rad以下では照射終了後比較的早期に手術すべきであり,4000rad以上では2週間程度の待期期間をおくぺきである.

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