1990年代におけるチップ生産構造の再編 : 岩手県の広葉樹チップ生産を事例に

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タイトル別名
  • The Changes of the Structure of Wooden Chip Production in the 1990's : A case of hardwood-chip production in Iwate
  • 1990ネンダイ ニ オケル チップ セイサン コウゾウ ノ サイヘン イワテケン ノ コウヨウジュ チップ セイサン オ ジレイ ニ

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説明

本稿の課題は紙パルプ資本の国内資源からの後退局面におけるチップ生産構造をチップ産業の実態把握を通じて明らかにしようとするものである。90年代以降紙パルプ資本は広葉樹を中心とした輸入チップ体制を構築し国内資源基盤の位置付けを弱めた。広葉樹チップの産地である岩手県の事例からは,三菱製紙を除いた各紙パルプ資本の広葉樹チップ集荷からの撤退がみられ,集荷量の減少,単価の引き下げが相次いで行われるとともに,チップ生産量も激減している。この結果として,三菱製紙の1社独占体制が構築されつつあり,寡占支配の象徴ともいえる「協力会」の解散が各社で相次ぐなど強固な系列関係が弛緩ないしは解消に向かいつつある。これに伴いチップ産業は,チップ生産の経営内合理化が既に限界に達した中で,立木購人から素材購人へ転換し原料在庫のリスクを素材生産業に転嫁するとともに,より利潤率の高い製材加工部門へのシフト,間伐材や製材端材等のより安価な原料の確保などの対応がみられ,林業生産構造そのものを歪めつつチップ産業の縮小と新たな淘汰の段階に至っている。

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