Resent knowledges on ecology of the Japanese giant crab, Macrocheira kaempferi de Haan

Bibliographic Information

Other Title
  • タカアシガニ研究の現状

Description

タカアシガニMacrocheira kaempfefi De Haan(Japanese giant crab)は1属1種の巨大なカニで、脚を広げた大ささは3メートルを起えるものがあり、現生の全節足動物中最大の生物として知られている。その英名が示すように、分布は日本沿岸に限られており、その巨大な体と特異な色彩から古くからよく知られていた。シマガニ・オオガニ・ヒガンガニなど地方特有の呼び名をもっている。 タカアシガニに関する分類学的研究はいくつか行なわれているが、分類学上の問題点があまりないこともあって、分類学者の興味は高くなかったようである。しかし、幼生と未成体についての報告はあまり多くない。Ai kawa(1941)が最初に第1ゾエアを記載し、Tanase(1967)が抱卵した雌から採集した卵を飼育してメガローパまでの形態を報告しているのみである。メガローパ以降、定着してからの未成体についてはほとんど報告がなかった。 タカアシガニはその大きさなどから、水族館、博物館等での展示効果が大きいため、全国各地の水族館で飼育されており、飼育時の行動などの個生態および飼育上の問題点に関する報告はいくつか見出すことができる(荒川196a,b,1964,荒賀:1963,平山他1960,塩見他:1961,など)。しかしながら野外におけるその生態学的な知見については、まとまって個体数がとれないことにもよって、。ほとんど皆無といってよい状態であった。 駿河湾では、主にエビ類を対象とした小型機船底曳船が15隻あり、その漁獲物中にかなり多くのタカアシガニが混獲されている。なかでも西伊豆の漁村戸田では、タカアシガニ料理を名物として観光客を呼んでいる。小山(1973)は、戸田から出漁する漁船に便乗して、採集されるタカアシガニの形態、大きさ、雌雄などを計測し、いくつかの形態学的および生態学的知見をまとめた。それによると、雄の甲幅長は140mm~300mm、雌では140mm~220mmのものが採集されており、採集個体の雌雄比はほぼ1:1であった。また、抱卵雌の出現は9~12月の調査期間中、10、11月に限られていたこと、1個体の雌の抱卵数は80~150万粒が数えられたこと、胃内容物として魚類、エビ類、棘皮動物などが多くみられ、肉食者であると推定されることなどを報告している。 われわれも、1973年からほぼ同様な手段によって、駿河湾の小型機船底曳によって漁獲されるタカアシガニを対象に調査を行なってきた。約2カ月に1回の割で調査を行なったが、1日1隻の漁獲数は少なく、多くても2~30個体を越えることは稀であるため、その得られたデータから、断定的な結論を下すことは、現在のところほとんど不可能であるので、今回は、現在までに得られたデータを資料として提出し、少し問題点を整理するにとどめたい。

Journal

  • Benthos research

    Benthos research 1976 (11-12), 13-21, 1976-04-30

    JAPANESE ASSOCIATION OF BENTHOLOGY

References(2)*help

See more

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top