手動制御のスキル獲得過程におけるオペレーターの脳波に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Study on the Operator’s Electroencephalogram in the Process of Obtaining Skills for Manual Control
  • シュドウ セイギョ ノ スキル カクトク カテイ ニ オケル オペレーター ノ ノウハ ニ カンスル ケンキュウ

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説明

人間を構成要素とするシステムの中には、大型船舶のように、入力操作時からその出力(効果)が現れるまでの時間が比較的長いものがある。このようなシステムを制御するには、人間が常に制御対象の動きを予測し操作のタイミングや操作量を判断しなければならない。このような制御は「予測制御」と呼ばれ、システム応答が遅れるものほど挙動の予測が困難となり、制御が難しいと言われている。本研究では、人間のパフォーマンスはスキルの獲得、つまり操作に対する習熟による効果と操作者の精神変動との関係を精神変動が表出する脳波に基づいて明らかにすることを目的としている。シミュレータ実験を通して、操作者の予測制御のパフォーマンスと脳波の関係を調べた結果、操作者が予測制御のスキルを獲得していく段階に応じて、正中線前頭部におけるθ波電位に特徴的な変化が現れることが判った。正中線前頭部に表出するθ波はFmθと呼ばれ、人間の精神集中との関係が示唆されている。この知見に基づいて考察すると、スキルのレベルに応じて、大脳での「予測制御」に関する認知処理への負荷が変化したと言える。人間のスキルレベルと認知処理過程については、Rasmussen が"SRK-model"を提唱しているが、本研究での結果は、このモデルの妥当性を裏付けるものであり、予測制御におけるスキル獲得と脳波との関係がある程度明らかになったと言える。

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