膠原病

  • 冨岡 洋海
    神戶市立医療センター⻄市⺠病院呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • サルコイドーシスとその周辺疾患との関わり

抄録

神戶市立医療センター⻄市⺠病院呼吸器内科膠原病は全身性結合組織の疾患であり、病因として自己免疫を含む何らかの免疫異常が想定されている。全身性疾患として認識されるべきサルコイドーシス(サ症)は、免疫異常という共通の病態からも膠原病との鑑別、また合併が問題となる。本講演では、まず、サ症と膠原病との鑑別について、次に、それらを踏まえたうえで、サ症の合併症としての膠原病について、review を行う。1) 膠原病との鑑別皮膚病変は確実な生検が行いやすいことからも、診断と経過をみるうえで重要な病変である。結節性紅斑は、欧米ではサ症の重要な初発症状の一つとされるが、Behcet 病や溶連菌感染症などでも認められ、サ症に特異的なものではない。サ症の関節病変は、急性・一過性型と持続性・慢性型とに分類される。BHL、結節性紅斑とともに関節炎を特徴とする Löfgren 症候群は、本邦ではまれであるが、サ症発見時症状として、関節症状は本邦でも 1.6%に認められている。関節炎合併サ症の検討では、中年女性が多く、急性発症で、両下肢の対称性関節炎が多い。筋サ症のうち、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)との鑑別が問題となる急性・亜急性筋炎、慢性ミオパチーでは、筋肉内腫瘤は触知せず、左右対称性に四肢の近位筋優位、またはびまん性の筋力低下や筋萎縮を認める。血清クレアチンキナーゼ、アルドラーゼ高値も半数以上に認められ、筋電図や MRI などでも鑑別は困難な場合が多く、筋生検で非乾酪性類上皮肉芽腫を確認することが重要である。サ症においても、涙腺、唾液腺病変をそれぞれ 3%、6%に認め、シェーグレン症候群(SjS)同様、ドライアイ、ドライマウスを生じる場合がある。同様に、SjS にみられる耳下腺腫脹は、発熱、顔面神経麻痺、ブドウ膜炎と伴に、サ症の一亜型である Heerfordt 症候群の 4徴のひとつである。膠原病では、間質性肺炎、細・気管支病変、胸膜炎、肺高血圧症、肺血栓塞栓症、血管炎、リウマチ結節、肺門・縦隔リンパ節腫脹など多彩な肺病変を呈し、鑑別が問題となる。2) 膠原病との合併膠原病の中では、SjS との合併の報告が多い。一次性 SjS におけるサ症の合併頻度は 1〜2%とされるが、実際はより高いと考えられている。SjS の病変部では Th1 タイプのサイトカインが優勢で、サ症との免疫学的共通性も推測されている。合併例の検討では、SjS 先行例が多いこと、また、SjS に加え、関節リウマチ(RA)をはじめとするその他の膠原病や、甲状腺疾患、特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫性疾患との合併も多い。サ症患者が、対称性多発関節炎、特に手の小関節炎を呈する場合には、RAの合併について精査する必要がある。また、RA に対する抗 TNF 製剤治療中のサ症の発症にも注意が必要である。サ症と PM/DM との合併例の報告では、DM が比較的多く、また、日本人の報告が多い。強皮症、全身性エリテマトーデス/抗リン脂質抗体症候群とサ症との合併はまれとされている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ