副腎髄質ホルモンの研究 (第1報)

瀧川 泱男, 小野 惠子

doi:10.2974/kmj1951.3.32

従来l-Adrenalinが副腎髄質ホルモンであり, 交感神経末稍から分泌される交感神経物質と考えられていたが, U.S.Enlerは各種臓器アドレナリン生成神経及び人間, 牛の血液等からl-Arterenolを検出し更に副腎髄質新鮮抽出液中のl-Arterenolの定量を行つている.<BR>又Z.M.Bacq, P.Holtzもその存在を証明している.<BR>最近M.Goldenberg等はPaper partition chromatographを用いて牛副腎から抽出した1-Adrenalin中にはl-Arterenolが12～18%含有されていること, またP.Holton副腎髄質腫瘍1gから.5～6.3mgのl-Arterenolを分離した.dl-Arterenolは既にHochoter Farbwlにより合成されている既知物質であるが本研究に於て別の目的からω-aminoathanolbrenzcatechinの合成を行い以下述べる2, 3の方法について比較検討した.<BR>当時原料Brenzcatechinの入手困難なるためPhenolより合成した.その合成経路及び各工程の得量は図に示す如くである.先ずPhenolをReimer Tieman法でSalycylicaldehydの酸性亜硫酸塩となしNaOHで分解後H₂O₂を作用せしめBrenzcatechinとなしmonochlor-Essing Säureを反応せしめてω-chloracetobrenzcatechinとなしAceticanhydrideを用いてacetyl化をしてω-chloracetobrenzcatechindiacetatとする.次にNajでClをjに置換ωjodacetobrenzcatechindiacetatとなしUrotorophin法に依りω-aminoacetobrenzcatechin HCl salzを得る.この物質を酸化白金を触媒として接触還元をなし目的のω-aminoäthanolbrenzcatechinhydrochloride (Fp.141°) を得た.<BR>更にその合成過程を検討した結果ω-chloracetobrenzcatechindiacetatのClをjに置き代えるよりBrと置換すればそのUrotoropinの附加物の得量がほとんど理論直に近い価を得られる (B法).又この事に依りC法の如くBrenzcatechinを原料としてmono Brom EssingsäureをEssinganhydrideと反応させ直接ω-Bromacetobrenzcatechinを得べく実験した結果B法より得量が悪いものと考えられる.

副腎髄質ホルモンの研究 (第1報)

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