圧縮ベントナイト中の間隙水測定手法の検討

  • 磯貝 武司
    Inspection Development Co.
  • 神徳 敬
    Waste Isolation Research Division, Tokai Works, Japan Nuclear Cycle Development Institute
  • 笹本 広
    Waste Isolation Research Division, Tokai Works, Japan Nuclear Cycle Development Institute

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental determination of the porewater compositions in compacted bentonite
  • アッシュク ベントナイト チュウ ノ カンゲキスイ ソクテイ シュホウ ノ ケントウ

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抄録

圧縮ベントナイト中の間隙水pHおよび間隙水組成の時間的・空間的変化を直接測定する手法を検討した. 圧縮ベントナイト (Kunigel-V1®=100%, 乾燥密度=1.6g/cm3) 中の間隙水pHおよび間隙水組成の測定は, 低脱色性のpH試験紙および高吸水性パットを用いて行なった. <br> 試験は雰囲気制御グローブボックス内 (O2≦1ppm) で行い, 蒸留水, NaCl溶液, 人工海水および低アルカリ性セメント (HFSC) 浸漬液を用いた. 蒸留水, NaCl溶液および人工海水についてはNaOHを添加してpH=9に調整し, HFSC浸漬液に関しては平衡に達したHFSC浸漬液pH≒11を用いた. <br> 試験の結果, 間隙水pHの時間的・空間的変化は, 蒸留水試験では, ベントナイト内側でpHはほぼ一定 (pH=8.0~9.0) であったが, 溶液との接触面近傍において時間の経過とともにpHが低下 (pH=7.5~8.5 → pH=7.0~.0) する傾向が認められた. 人工海水試験では, 溶液との接触面近傍でpHはほぼ一定 (pH=6.5~7.0) であったが, ベントナイト内側では時間の経過とともにpHが低下 (pH=6.5~7.0 → pH=6.0~6.5) する傾向が認められた. HFSC浸漬液試験では, 蒸留水試験と同様な傾向が認められ, ベントナイト内側のpHはほぼ一定の値 (pH=8.5~10.0) を示し, 溶液との接触面近傍では時間の経過とともにpHが低下 (pH=9.5 → pH=7.5~8.5) する傾向が認められた. <br> 低脱色性pH試験紙によるベントナイト内側での間隙水pHの測定値は, 既往の発色剤法による測定結果や鉱物-水反応の化学平衡に基づく間隙水化学モデルによる計算結果ともほぼ一致しており, 測定手法の妥当性が確認された. <br> なお, 蒸留水試験において認められたベントナイトと蒸留水との接触面近傍における間隙水pHの低下について, 地球化学コードPHREEQCを用いて予察的な熱力学的解析を行った. その結果, 接触面近傍における間隙水pH低下の原因の1つとして, 黄鉄鉱の酸化による影響が考えられた.

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