花崗岩内の微小間隙構造の解析

  • 山口 徹治
    日本原子力研究所 環境安全研究部 地質環境研究室
  • 磯部 博志
    日本原子力研究所 環境安全研究部 地質環境研究室
  • 中山 真一
    日本原子力研究所 環境安全研究部 地質環境研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Microporous Structure in Granite

抄録

岩石内におけるイオンの拡散現象を定量的に理解するためには、岩石の間際構造に関する知見が不可欠である。間隙の大きさが拡散するイオンの大きさや平均自由行程に比べて充分大きいことや、間隙構造が均一であることは、間隙中におけるイオンの挙動にフィックの法則を適用するにあたっての前提条件である。そこで、花崗岩内の微小間隙の構造を水飽和法及び水銀圧入法で解析した。これらの方法は岩石の間隙率及び間隙径を測定する方法として一般的であるが、間隙率が極めて小さい岩石に対して精度のよい結果を得るためには工夫が必要である。水飽和法では、水飽和重量、乾燥重量及び水没重量から間隙率を測定するが、これらのうち水飽和重量が最も大きな誤差を伴いやすく、間隙率の測定精度に影響する。そこで乾燥曲線法を用いて水飽和重量を精度よく測定した。水銀圧入法では、サンプル表面の凹凸が測定誤差をもたらす。また間隙率が小さい岩石に対しては水銀の浸入量が少ないために測定精度が悪くなる。そこで測定を行なう岩石サンプルを直方体に切断加工するとともに、その直方体の試料5片 (計約6ml) を一度に測定に供することにより水銀浸入量を稼いだ。これらの工夫により、茨城県稲田産花崗岩及びカナダ、マニトバ州にあるカナダ原子力公社 (AECL) の地下実験施設 (URL) から採取した花崗岩 (URL花崗岩) の間隙率を精度よく測定することができ、間隙径はほぼ対数正規分布をとることが確認された。稲田花崗岩の間隙率は (0.49±0.07) %であり、間隙の直径の最頻値は160nmであった。SEM観察により大きさが数十~数百nmの間隙の存在が確認された。URL花崗岩については間隙率が (0.40土0.10) %、間隙の直径の最頻値は340nmであった。これらの花崗岩内におけるイオンの拡散現象に通常のフィックの法則を適用するための前提条件がほぼ満たされていることが確認された。

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被引用文献 (2)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205337755904
  • NII論文ID
    130004697661
  • DOI
    10.3327/jnuce.3.99
  • ISSN
    21867135
    18847579
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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