北欧のプライマリ・ケア—患者中心の北欧医療

  • 福本 一朗
    長岡技術科学大学工学部生物系医用生体工学教室 瑞典王国公認医

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タイトル別名
  • Primary care in Sweden
  • 北欧のプライマリ・ケア--患者中心の北欧医療
  • ホクオウ ノ プライマリ ケア カンジャ チュウシン ノ ホクオウ イリョウ

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抄録

1790年代の「地方医」以来の伝統をもつスウェーデンの地域医療は, 住民の診療にあたるのみならず, その地域の風土・水質を知悉し, 疾病の発生を未然に予防するため定期的に住民の健康診断を行って健康上の助言を与えることが義務とされてきた. 現在の「地区医」は1970年代に整備された一般医学思想に基づく一次医療を担い, (1)住民の治療, (2)リハビリテーション, (3)住民の心身の痛みの緩和, (4)疾病の予防のために尽くすことを, 主な任務としている公務員であり, 24時間態勢の電話医療相談員制度のもとプライマリ・ケアを担当している. 住民の80%は地区医受診を希望し, 地区医療センターが建設され始めた1973年以来, 死亡率は男女とも急激に減少している. 地区医療センターでの診療は病院での診療費と比べて非常に安く, 国民医療の90%を担う自助医療を支える国営薬局制度とあいまって, 世界でも最高に属する長寿と低新生児死亡率を誇りながらも, 対GNP医療費は1981年以降低下している.

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参考文献 (13)*注記

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