精液輸送用懸濁液へのカゼイン添加による凍結融解後の沖縄在来豚アグー精子性状の改善効果

書誌事項

タイトル別名
  • Addition of Casein to the Diluents during Semen Transportation Improves the Post-Thaw Qualities of Okinawan Native Agu Pig Spermatozoa

この論文をさがす

抄録

精液輸送時の精子への精漿暴露時間の延長により、沖縄在来豚アグー精子の凍結融解後の精子性状は著しく低下する。そこで本研究では、カゼインを添加した精液輸送用懸濁液(BTS) を用い、アグー精液輸送時のカゼイン処理が凍結融解後の精子性状を改善するか否かについて検討した。アグー3 頭から手圧法で採取した精液を、直ちにカゼインナトリウムを含むBTS で等倍希釈し( カゼイン最終濃度0.5%)、30℃保温下で1.5-2 時間をかけて研究室に持ち帰った。そして、既報に従い凍結処理を行った後、融解精子の性状を各種パラメータを用いて測定した。その結果、個体間で差が認められたものの、カゼイン無添加区( 対照区) に比較して、カゼインを含むBTS で精液を希釈輸送し凍結した全ての精子で精子運動性とミトコンドリア正常性が改善された(P < 0.05)。また、精液輸送時のカゼイン処理により凍結前の精子細胞内コレステロール量が対照区に比べて高く保たれた。さらに、対照区に比較して、カゼイン処理区の細胞内ATP 含有量や先体由来タンパク質分解酵素活性は高いレベルで維持され、逆に、活性化型カスパーゼならびに断片化DNA を有する精子の割合は有意に減少した(P <0.05)。以上の結果から、BTS への0.5% カゼイン添加は、精液輸送時の精漿成分によるアグー精子耐凍能低下を抑制し、凍結融解後の精子性状を効果的に改善することが明らかとなった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ