〈ブリーフ〉はどこから来たのか,そして,どこへ向かうのか:〈ブリーフ〉の臨床思想の試案

  • 八巻 秀
    駒澤大学文学部心理学科 やまき心理臨床オフィス

書誌事項

タイトル別名
  • Where did “brief” originate, and how it will evolve?: A suggestion of the clinical idea of “brief”
  • 〈 ブリーフ 〉 ワ ドコ カラ キタ ノ カ,ソシテ,ドコ エ ムカウ ノ カ : 〈 ブリーフ 〉 ノ リンショウ シソウ ノ シアン

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説明

<p>本論文では,〈ブリーフ〉を再定義するために,まずブリーフセラピーの始まりは,いつなのかを確認する。その始まりは,これまでミルトン・エリクソンとグレゴリー・ベイトソンが多く言及されている。筆者は,〈ブリーフ〉の始まりとして,これらにもう1つ時代を遡って,アルフレッド・アドラーの臨床実践とその思想を加える必要があると考えている。アドラーの臨床実践は,短期的・効果的・効率的という現代のブリーフセラピーの考え方に通じるところは多い。またアドラー心理学は,技法と理論とともに「思想」もあるという三位一体の体系をなしている。これまでブリーフセラピーは,様々な技法と理論が開発され,臨床心理学の技法や理論の発展に大いに貢献してきたが,思想については議論されてこなかった。そこで,アドラーが示した「臨床思想」の検討が,これからの〈ブリーフ〉を考えていく上で,必要になってくると思われる。そこで,ブリーフセラピーの臨床思想につながる共通項として,「臨床的主体性」「臨床的楽観性」「外在化」の3つのキーワードを取り上げて,〈ブリーフ〉の臨床思想の試案を作成した。このような臨床思想を考えていくことで,新しい〈ブリーフ〉の再定義が可能になると思われる。</p>

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