脱税と非対称的ラッファーカーブ

DOI
  • 渡辺 茂
    School of Economics, University of Osaka Prefecture

書誌事項

タイトル別名
  • Tax Evasion and Asymmetric Laffer Curve<SUP>*</SUP>

抄録

税率と税収あるいは国民所得との関係を考察することの重要性は, 他のいかなる時代をも凌駕するように思われる.本稿を通じて導かれたことは, 直感と一致するように思われるが, 税率を絶えず高めることが望ましくないということである.脱税した所得とそうでない所得との間で, 限界消費性向に差がみられないと仮定すれば, ラッファーカーブのようなユニークな最大点をもつ曲線が得られる.そのように仮定しない場合には, 曲線は非対照的な性質をもつことになる.このことは, 税率と税収との間だけでなく税率と国民所得との間でも成り立つ.その結果, 税率を臨界点以上に高めればある場合には, 税収と国民所得を減少させることになり, 他の場合にはその効果が予期できないことになる.従って, 臨界点以上に税率を高めないことが賢明と言える.但し, その税率を直接的に見つけることは困難である.もし, 当局の把握する所得が50%以下であると推定されるならば, 既に税率が臨界点よりも高くなっており, 50%を越えている (例えば55%, 60%) 場合でもその可能性を否定することはできない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205357524864
  • NII論文ID
    130004006159
  • DOI
    10.11228/pcs1981.1987.10_83
  • ISSN
    18846483
    02869624
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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