トマト及びトマト加工品の成分に関する研究

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タイトル別名
  • (第2報) 肥料濃度がトマトピュレーの有機成分組成に及ぼす影響

抄録

トマトピュレーの品質が施肥量の多少でどう異るかを見るために,礫耕培養を行つた。その成績を味,状態,色調の3点から標準量施肥区を中心にして要約してみると,<BR>1) トマトピュレーの味の良否には主として糖,酸,非蛋白態窒素の量即ち又それらを以て構成する可溶性固形物量の多少があずかつているものと考えられる。標準の1/6量を施肥した区(1/6区)に於てはこれらの値が減少するから,問題なく味は落ちるものと言える。又標準の2倍量を施肥した区(2倍区)から作つたピュレーは可溶性固形物量の増加が認められず,只その味の性質がかなり異つてくる様である。即ち可溶性固形物中の各成分の構成割合に於て糖が増して酸が減るから味がいわば甘い方に傾く事が考えられる点及び非蛋白態がやや増加して而もその非蛋白態の構成に於て,非アミノ態:アミノ態が標準区では4:6であつたのが,2倍区では1:9になつている2つの点である。<BR>2) トマトピュレーの状態に最も影響するのは全固形物量,不溶性固形物と可溶性固形物との割合,ペクチン量,粗繊維量等であると思われる。1/6区に於ては不溶性固形物,粗繊維の量が多くなるので状態が固くなる事が考えられ,これが粘性と遠心沈澱量の値に出ている。ところが2倍区の場合には,全固形物,可溶性固形物,粗繊維に大差無く,不溶性固形物が減少し,又ペクチン量の概量を見ても状態はゆるくなる様に思えるのであるが,粘性及び遠心沈澱量という2つの尺度では反つて状態がかたいという結果が得られた。<BR>3)色調については全体の色が標準区に於て最も濃厚で他の区の場合はやや白つぽくなると言える。然し色調の性質即ち色合はいづれも橙赤色ではあるが2倍区が最も赤味多く,標準区これに次ぎ,1/6区は最も赤味が劣るという結果になつた。<BR>4) 可溶物を構成するものを知るために,ペーパークロマトを行つた結果は,有機酸としてはcitric, oxalic, pyrrolidone carboxylic acidが全区に,malicが標準区以外の各区に,succinicが無肥料土壤区に,tertaricが1/6区と無肥料土壤区に,未知の1種が2倍区と標準区に検出された。糖類としてはglucose, fructose,未知のもの1種が全区共通に見出された。アミノ酸としては2倍区13種,標準区12種,他の2区それぞれ11種が検出され,その中で全区共存在したのは8種即ちasparatic acid, glutamic acid, valine, serine, asparagine, alanine, cystine,未知のもの1種であつた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205371961216
  • NII論文ID
    130003787388
  • DOI
    10.3136/nskkk1953.3.1
  • ISSN
    03695174
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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