Mahayanasamgrahaにおける^*nimittaと^*drsti

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  • On ^*nimitta and ^*drsti in the Mahayanasamgraha

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抄録

初期瑜伽行派において,nimittaという語は同学派の存在論・認識論を論ずる上で非常に重要な役割を担っている.このnimittaという語は様々な文脈で用いられているが,その中でも重要な用法の一つと思われる^*drstiとの対比において用いられるMahayanasamgraha(MS)の用例がある.この^*nimittaと^*drstiの用例は,言うまでもなく,のちに法相宗において説かれる識の四分説の先駆とみなされるものでもある.さて,MS IIにおいて^*paratantraの特質として十一種の^*vijnaptiが挙げられており,その後,^*vijnaptiのみであることが立論されている.その立論の第二の根拠として,^*vijnaptiが^*nimittaと^*drstiの二つの部分を具えていることが説明されている.この箇所に対して長尾[1982:p.314]は,十一種の^*vijnaptiの一つ一つが^*nimittaと^*drstiの二分に分たれる,という趣旨の説明をなしている.これは^*nimittaとdrstiという二つを,いわばvijnaptiの下位分類としてとらえているものであると考えられるが,はたしてこの二つとvijnaptiの関係はそのようなものなのであろうか.本論文ではMSおよびその注釈であるMahayanasamgrahabhasyaの記述を再検討することによって,vijnapti(-matra)と^*nimitta,^*drstiの関係を再考する.

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