Vedic svarga-について

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抄録

svarga-は,本来「太陽光(svar-)に到る」を意味する形容詞と考えられる.ヴェーダ文献では専らloka-,m.「世界」に係る形容詞として用いられ,二語併せて「天界」が意図される.RgVeda X 95,18d svarga u tvam api madayase「そして君もsvarga-で酔う」をはじめ,単独の男性実体詞と化しているかのような用例も最初期から見られるが,これはsvarga-(loka-)の語法を予定した省略表現に由来すると考えるべきである.本論文はヴェーダ期を通じたsvarga-(乃至その派生語)の用例を精査して語史の解明を試み,ヴェーダ文献編集過程に一視点を提供するものである.AtharvaVeda,AV-Paippaladaをはじめとするmantra段階の言語では,svarga-は形容詞として生産的である(例えばodana-,m.「粥」を予定するAVS IV 34,8;AVP V 14,8やkurma-,m.「陸亀」を予定するMS II 7,16など).形容詞として用いられる例はMS散文にも在証する:MS I 5,5:72,3f.^p yasya va agnihotre stomo yujyate svargam asmai bhavati「もしその者のアグニホートラに詠唱(stoma-)が繋がれるなら,天界に赴く[agnihotra-,n.]がその者(祭主)に生じるのだ」;MS I 5,5:73,7^p<agnir murdhe->-ti.svarga tena「<Agniは頭頂だ>と[唱える].それによって,[この讃歌は]天界に赴く[讃歌]である」.こうした用法はマントラ時代の用法の遺存形であり,MS散文の古風を示す一例である.他方KS,KpS,TS散文では,形容詞として,svarga-,m.を前提とするs_u vargya-が用いられる.svarga-の形容詞としての用法を残すMS散文に比して,より新しい言語段階にあるものと理解される.

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