東密における『釈摩訶衍論』の解釈の一考察

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タイトル別名
  • A Study of the Interpretation Involving Shi mo he yan lun 釈摩訶衍論 in the Tomitsu 東密(Shingon) Tradition:
  • A Study of the Interpretation Involving Shi mo he yan lun 釈摩訶衍論 in the Tomitsu 東密 (Shingon) Tradition : Focus on an Interpretation of Shinsho 信証
  • A Study of the Interpretation Involving Shi mo he yan lun シャクマカエンロン in the Tomitsu ヒガシミツ (Shingon) Tradition : Focus on an Interpretation of Shinsho シンショウ
  • ――信証を中心に――
  • Focus on an Interpretation of Shinsho 信

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説明

真言宗開祖である空海(774-835)によって大成された十住心思想とは,『大日経』「住心品」の心続生段を根拠に,菩提心の展開の階梯を十箇の教判論として整備された思想体系であり,真言教学の根幹をなすものである.この思想の中で第八住心に配釈された天台宗側からの反論が提示された.特に台密の大成者とされる安然(841-889?)の『真言宗教時義』が痛烈な論駁を行っている.この論書により,空海の十住心思想を建立する際,いくつかの経論解釈には不明瞭な点があることを如実に浮き上がらせた.本稿は十住心批判の論駁書『十住遮難抄』の後半部で取り上げられている『秘蔵宝禴』の経論解釈の根底に,空海が『釈摩訶衍論』を援用していることに『教時問答』が着眼し批判したことへの論駁を問題提起の基点とする.信証と時を同じく光明山寺の実範(?-1144)『大経要義鈔』がこの問題について論駁を施しているが,『釈論』が如何に東密側でより具体的に論理面で受容されるに至ったか,西院流の祖である仁和寺の信証(1086-1142)が『大毘盧遮那経住心鈔』の中で論駁を施している.『大日経疏』を基底にした彼の論及を概観しつつ,実範の論駁と対比して試論を述べたい.

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