『中論頌』第18 章第2 偈とそれに対する『プラサンナパダー』の注釈

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タイトル別名
  • <i>Mūlamadhyamakakārikā</i>, Chapter 18, Verse 2 and the <i>Prasannapadā</i>’s Commentary Thereon
  • Mulamadhyamakakarika, Chapter 18, Verse 2 and the Prasannapada's Commentary Thereon

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抄録

<p>チャンドラキールティ(Candrakīrti)作『プラサンナパダー』(Prasannapadā, PsP)は,今日唯一完本の形でサンスクリット原典の参照が可能なナーガールジュナ作『中論頌』(Mūlamadhyamakakārikā, MMK)に対する注釈である.MMK の偈頌のみのサンスクリットテキストの存在は,近年まで知られておらず,La Vallée Poussin(LVP)によるPsP 校訂テキストに引用されるMMK が,MMK のテキストとして使用されていた.しかし,近年,葉少勇によってMMK の写本が同定され,同校訂テキストが出版された.一方,PsP に関しては,今日でも多くの研究者の間でLVP 校訂本が用いられているが,近年では,LVPのテキストを見直す研究の存在が知られるようになっている.筆者もその1 人であり,第18 章の校訂テキストを作成し‍た.</p><p>先行研究で指摘されている通り,偈頌のみのテキストにおけるMMK 18.2 とPsP に引用されるMMK 18.2では,「我所」に相当する語について,前者では “ātmanīya” と,後者では “ātmanīna” とテキストが異なることが報告されている.また,同じく,先行研究では,当該偈を注釈するPsP についての言及もなされているが,依然として考察の余地があるように思われる.本稿では,筆者がPsP第18章の校訂テキスト作成過程で明らかとなったMMK 18.2とそれに対するPsPの注釈について考察する.</p>

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