ルーマン教育システム理論の批判的継承

書誌事項

タイトル別名
  • Critical Succession of Luhmannʼs Educational System Theory
  • ルーマン教育システム理論の批判的継承 : ヨッヘン・カーデの場合
  • ルーマン キョウイク システム リロン ノ ヒハンテキ ケイショウ : ヨッヘン ・ カーデ ノ バアイ
  • ──ヨッヘン・カーデの場合──

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抄録

本稿の目的は,ヨッヘン・カーデがルーマン教育システム理論をどのように批判的に継承しつつ発展させてきたかを跡づけ,それを踏まえて理論的考察を行うことである。カーデによれば,現代の教育システムは学校という組織の枠を越えて普遍化した機能システムであり,全体社会に流通する知識から[媒介可能]としてフィルタリングした《知識》を,成人を含む被教育者に媒介することで知識の習得に寄与し,ライフコース形成を促す教育コミュニケーションのネットワーク型システムである。教育システムは心理システムにおける個人の習得に,これをコミュニケーション上の習得と関係づけることで間接的にアクセスしうる。また教育システムは全体社会のメディアとしての【ライフコース】の存在を前提とし,〈媒介〉と〈選抜〉の二つのコードをもち,それによって全体社会において存続・安定化する。ルーマンが教育システムの一体性を象徴するとしてきた「教育意図」もこれらのコードとの関連で理解でき,またこの両コードをそれぞれ【ライフコース】メディアの事象次元・社会次元における具体化と捉えた場合,時間次元のコードとして[展望的/回顧的]を想定できる。一方カーデは【知識】と【修了証】を教育システムのコミュニケーション・メディアとしているが,これについては疑問が残る。

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