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- 寺沢 拓敬
- 東京大学大学院
書誌事項
- タイトル別名
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- The Origin of the Self-Evident Assumption that All Students Study English
- The Process of the Establishment of English as “National Education”
- ──《国民教育》としての英語科の成立過程──
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説明
本研究の目的は,新制中学校英語科の「事実上の必修化」がいつ,どのように成立したかを検討し,その上で,必修化を促した要因を明らかにすることである。この分析を通して,ある教育内容が「すべての者が学ぶことが自明視される」という意味での《国民教育》の構成要素に,いかに成長していったか検討する。<BR> 新制中学発足当初こそ,選択科目であることが当然視されていた英語科だが,既に1950年代には中1の履修率がほぼ100%に近づき,「全員が一度は学ぶ」という意味での事実上の必修化が現出した。60年代になると中3の履修率も上昇し,「全員が3年間学ぶ」という今日的な意味での事実上の必修化が進行した。<BR> 同時期に「3年間必修化」を促した主たる要因は,教育内容そのものに関わる内在的な要因よりも,外在的な制度的・構造的要因であった。すなわち,英語の必要性の増大や英語教員の必修化推進運動ではなく,高校入試への英語試験導入,高校進学率の上昇,ベビーブーマー卒業後に生じた人的リソースの余裕など,構造的・制度的な変化の影響のほうが大きかった。なお,当時,自覚的な「運動」こそなかったが,関係者によって「英語の必要性」論への対抗言説が編まれており,これにより英語の《国民教育》としての正当性が高められ,その後の事実上の必修化を条件付けた面もある。以上のように,英語科の《国民教育》化は,種々の要因の複合的な結果として生じたと言える。
収録刊行物
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- 教育社会学研究
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教育社会学研究 91 (0), 5-27, 2012
一般社団法人 日本教育社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205398322304
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- NII論文ID
- 130003397430
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- ISSN
- 21850186
- 03873145
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可