エンデュランススポーツの実践を支え合う「仲間」

  • 浜田 雄介
    広島市立大学大学院国際学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • “Peers” supporting one another while practicing endurance sports:
  • エンデュランススポーツの実践を支え合う「仲間」--トライアスリートの互酬的実践の記述的分析から
  • エンデュランススポーツ ノ ジッセン オ ササエ アウ ナカマ トライアスリート ノ ゴシュウテキ ジッセン ノ キジュツテキ ブンセキ カラ
  • ―トライアスリートの互酬的実践の記述的分析から―
  • A descriptive analysis of reciprocal practices among triathletes

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説明

長時間の苦痛を乗り越えるエンデュランススポーツは、人々に自己肯定感をもたらす重要な実践の1つとされる。本稿が対象とするトライアスリート(トライアスロン競技者)も、それぞれに固有の目標や取り組み方をもって、日々の実践に励んでいる。そしてそのような対象者の実践の基底となっていると考えられるのが、「仲間」と呼ばれる他者関係である。しかしながら、彼ら/彼女らのあいだに組織的秩序や成員性はなく、クラブやチームなどへの加入およびその設立には消極的である。したがって、彼ら/彼女らを結びつけている包括性を外的に見出すことはできない。 <br> それではいかにして「仲間」関係は築かれ、拡がっていったのか。このことを考える方法論的視点として、本稿ではトライアスリートの相互行為、特に大会での競技者への応援など他者の実践を支援し合うようなあり方を、関係の形成と安定に資する「互酬」と措定し、対象者間に固有な実践の記憶とその蓄積を辿ることで、「仲間」関係における紐帯の具体相を明らかにすることを目的とした。 <br> 結果として、個々の競技に対する志向の多様性を認め合うことのできる持続的な他者関係が、エンデュランススポーツの自己肯定感をもたらす意義ある実践として継続されるうえで重要となることが示された。このことから、本稿はトライアスリートの「仲間」関係を、個々に固有な価値観や規範に沿おうとする意味での、孤立とも他者への追従とも異なる「自律」した主体を立ち上げるための共在の実践として結論した。そのような「仲間」関係の特徴からは、今日における様々なスポーツ活動への肯定的な参加要因としての他者関係のあり方をも説明できるような論理展開の可能性が期待される。

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