1964年東京オリンピック出場アスリートのライフヒストリーからみた就労体験

書誌事項

タイトル別名
  • Work experience from the perspectives of a 1964 Tokyo Olympian's life history
  • 1964ネン トウキョウ オリンピック シュツジョウ アスリート ノ ライフヒストリー カラ ミタ シュウロウ タイケン
公開日
2009
DOI
  • 10.5987/jjsss.17.2_49
公開者
日本スポーツ社会学会

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説明

本稿では、1964年東京オリンピックに出場した日本鋼管(NKK)バレーボール部の出町豊のライフヒストリーを記述する方法をもちいて、どのような競技生活のなかで、どのような就労体験をしてきたのかを明らかにする。その上で、企業スポーツの将来像を論じていくためのライフヒストリー研究の意義と一流アスリートを有用な人材資源として正規雇用していくための労務環境や雇用モデルを論じる。 <br> 一流アスリートたちは、終身雇用制や年功的な賃金体系を確立させた労務管理体制を受け入れ、特別視されることを避けて正社員間の関係を安定化させる役割を果たしていた。また、職能獲得期である若年世代において、就労と競技の両立を成し得たポジティブな自己像の延長上に、地位移動によって自らを職場へ献身させていくポジティブな自己像が連続的に築き上げられていた。 <br> 企業アスリートを正規雇用するための労務環境や雇用モデルの検討においては、企業だけではなく複数の主体がかかわることが必要である。こうした文脈で取り上げられる主体には、今日盛んに議論されている地域スポーツクラブがあげられる。地域スポーツクラブに所属するアスリートが、企業の正社員として就労しながら競技力向上を目指すことの社会的諸価値を見定めていくことである。 <br> わが国のスポーツ界は、競技のための支援策ばかりではなく、就労のための支援策を検討し、労務に関わる法律や制度、賃金や税制などの改善を求めることによって、アスリートにインセンティブを与える仕組みを構築することである。それ故に、わが国のアスリートたちは、経済低迷下における企業と地域社会の社会的諸価値を支える人材資源として、その労務環境や雇用モデルのあるべき方向性が「スポーツ労働研究」の一領域として検討されなければならない。

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