精神疾患におけるミクログリアを介した神経免疫仮説
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- 加藤 隆弘
- 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野
書誌事項
- タイトル別名
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- Neuro-immunological hypothesis of psychiatric diseases via microglia
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説明
ミクログリアは,中胚葉由来のグリア細胞で,静止状態では樹状に突起を伸展して脳内の監視役としてシナプス間を含む微細な環境変化をモニターしている。環境変化に敏速に反応し活性化するとアメーバ状に変化し,脳内力動の主役として,脳内を移動し,サイトカインやフリーラジカルとい った神経障害因子および神経栄養因子を産生する。こうして,神経免疫応答・神経障害・神経保護に重要な役割を担い,神経変性疾患や神経因性疼痛の病態に深く関与している。我々は,抗精神病薬や抗うつ薬にミクログリア活性化抑制作用があることを in vitro 研究で見出し,ミクログリア活性化とその制御を介した精神疾患の病態治療仮説を提唱している。さらに,筆者は,無意識を扱う力動精神医学の立場から,日常の精神活動や無意識に果たすミクログリアの役割にも関心を寄せている。本稿では,我々の仮説を国内外の知見とともに紹介し,これからの本研究領域の方向性・可能性を検討する。
収録刊行物
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- 日本生物学的精神医学会誌
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日本生物学的精神医学会誌 21 (4), 229-236, 2011
日本生物学的精神医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205412208768
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- NII論文ID
- 130005395340
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- ISSN
- 21866465
- 21866619
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可