セロトニン神経系の障害を伴う精神疾患における意思決定神経基盤

  • 酒井 雄希
    京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学

書誌事項

タイトル別名
  • Neural substrates for altered reward prediction and decision making process in psychiatric disorders with serotonergic dysfunction
  • セロトニン シンケイケイ ノ ショウガイ オ トモナウ セイシン シッカン ニ オケル イシ ケッテイ シンケイ キバン

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抄録

小さな即時報酬と大きな遅延報酬の選択(異時点間の選択問題)において,前者を過度に頻繁に選ぶ「衝動的選択」は衝動性をとらえる指標の1つとされ,前頭葉や線条体といった脳領域の障害やセロトニン機能低下で引き起こされることが知られている。近年,計算モデルを用いた機能的MRI解析によって,線条体・島皮質において,腹側が衝動的な短期報酬予測に関与し背側が長期報酬予測に関与すること,セロトニン濃度が低いときは短期報酬予測に関連した腹側の活動が優位となることが明らかとなり,衝動的選択の神経基盤として注目されてきた。 一方で,様々な精神疾患において前頭葉─線条体回路の障害・セロトニン機能障害の関与を示唆する知見が集積してきているが,その包括的理解は進んでいない。本稿ではセロトニン機能障害を背景とした前頭葉─線条体回路の機能変化と衝動的行動選択といった観点から,様々な精神疾患の理解が深まる可能性を示す。

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