ニューロプシンによる統合失調症脆弱因子 Neuregulin-1のプロセシングを介した抑制性ニューロンの制御機構

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タイトル別名
  • Processing of neuregulin 1 by neuropsin regulates GABAergic interneuron
  • ニューロプシンによる統合失調症脆弱因子Neuregulin─1のプロセシングを介した抑制性ニューロンの制御機構
  • ニューロプシン ニ ヨル トウゴウ シッチョウショウ ゼイジャク インシ Neuregulin ─ 1 ノ プロセシング オ カイシタ ヨクセイセイ ニューロン ノ セイギョ キコウ

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抄録

認知機能はニューロンが形成するネットワークの活動に基づくと考えられている。特に抑制性ニューロンは,興奮性ニューロンの活動を制御し,ガンマ波などの認知機能に重要な同期発火の生成や可塑性の調節に重要な役割を果たしているが,その分子機構には不明な点が多い。私はシナプス間隙に局在する細胞外セリンプロテアーゼ・ニューロプシンが,統合失調症脆弱因子 Neuregulin 1(NRG1)をプロセシングすることを見いだし,この機構が興奮性シナプスを介した GABA 作動性パルブアルブミン陽性(PV)細胞の活動制御に寄与していることを突き止めた。ニューロプシンが細胞外マトリックスに結合している NRG1 のヘパリン結合ドメインを切断除去することで,NRG1 からリガンド部位が遊離し,これが PV 細胞に局在する ErbB4 受容体の自己リン酸化を誘導した。ニューロプシン遺伝子欠損マウスでは NRG1-ErbB4 シグナルが破綻しており,またネットワークの興奮と抑制のバランス(E/I バランス)およびシナプス可塑性が障害していた。ニューロプシンによって切断された NRG1 断片ペプチドの投与はこれらの障害を回復させた。以上のことから,ニューロプシン-NRG1 シグナルは認知機能に重要であり,この破綻により統合失調症患者で認められる抑制性ニューロンの機能不全およびガンマ波の消失などの症状が引き起こされると考えられる。

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