環境・新エネルギー産業における中小企業の役割と参入行動の特徴

書誌事項

タイトル別名
  • The role of small and medium-sized enterprises in the environment and alternative energy industries, and the feature of their entry action
  • 環境・新エネルギー産業における中小企業の役割と参入行動の特徴 : 太陽電池・風力発電機関連産業等の事例研究
  • カンキョウ ・ シン エネルギー サンギョウ ニ オケル チュウショウ キギョウ ノ ヤクワリ ト サンニュウ コウドウ ノ トクチョウ : タイヨウ デンチ ・ フウリョク ハツデンキ カンレン サンギョウ トウ ノ ジレイ ケンキュウ
  • Case studies about the solar cell industry and the aerogenerator industry
  • 太陽電池・風力発電機関連産業等の事例研究

この論文をさがす

抄録

今日、世界各国で官民を挙げて再生可能エネルギーの推進策が進められている。とくに、我が国においては、東日本大震災以降、原子力発電を含む電力供給に大幅な制約が加わり、また、新たに再生可能エネルギー固定価格買取制度が施行されたこともあって、新エネルギーへの期待は、これまでになく高いものになっている。本稿では、そうした環境・新エネルギー産業の各分野で実際にみられる中小企業の重要な役割について、インタビュー調査先企業の実例を取り上げて具体的に明らかにする。例えば、太陽電池産業を思い浮かべると、大規模設備による大量生産という装置産業的な色彩が強く、一見すると、中小企業の関与が薄いイメージを抱きがちである。しかしながら、太陽電池産業は、大手の完成品メーカーのほかに、原材料、副資材、製造装置、システム周辺機器などを供給する多くのプレーヤーを含む裾野の広い一面も持っている。そこでは、中小企業が重要な役割を担っており、その存在感は決して小さくない。こうした着眼点から、太陽電池産業のみならず風力発電機産業においても、同様に中小企業が大きなプレゼンスを示していることについて、実例を交えて詳述する。各分野における中小企業の重要な役割を認識した上で、次に、期待が集まるこれらの産業に参入した中小企業の成功事例を基にして、環境・新エネルギー産業において観察される中小企業の参入行動の特徴を詳述していく。参入のタイプは大きく分けて、(1)自発的・自立的参入、(2)取引先等のリード、(3)既存市場のシフト、の3つが考えられる。さらに、参入タイミングの違いを加味すると、それぞれに特有の課題や克服策を抽出することができる。こうした分析の結果、参入行動においては、(1)新規有望分野の受注を呼び込む力、(2)既存中核事業とのバランス、(3)未成熟な分野で活きるカスタマイズ能力、(4)政策に依存する市場特性への理解、(5)理想的に小さい市場の探索、などがポイントになることが明らかになった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ