エリゼ・ルクリュの地理学体系とその思想

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タイトル別名
  • LA PENSÉE GÉOGRAPHIQUE CHEZ ELISÉE RECLUS
  • エリゼ ルクリュ ノ チリガク タイケイ ト ソノ シソウ
  • LA PENSÉE GÉOGRAPHIQUE CHEZ ELISÉE RECLUS

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抄録

19世紀フランス最大の地理学者の一人に数えられるエリゼ・ルクリュ (1830-1905) は,ほとんど忘れられた存在であったが,近年地理学史やrelevantな地理学への関心から,再評価されつつある.本稿はルクリュ地理学の体系とその思想を彼の地理学三部作の中に探ることを目的とする.ルクリュは人類史の前史として地球の諸現象を地的調和の中に捉え(第1作『大地』),次いで世界各地で自然と人間が織りなす地表面の姿を記述し(第2作『新世界地理』),これらの事実の中から根本法則を引き出し,人類の歴史を跡づけることを課題とした(第3作『地人論』).ルクリュの地理学体系は個別科学としての地理学の体系化に寄与するというより,人類の歴史,人類の歴史的有り様を追究した壮大な歴史哲学といえる.ルクリュの思想は人類の歴史を階級闘争史観で捉える社会科学的視点に立つ一方,自然と人間の調和ある統一を理想とした目的論的世界観であるロマン主義の思潮と進化主義の思想とが統一された思想であった.

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