わが国における風車灌漑の地理学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • A GEOGRAPHICAL STUDY ON WINDMILL IRRIGATION IN JAPAN
  • わが国における風車潅漑の地理学的研究
  • ワガクニ ニ オケル フウシャ カンガイ ノ チリガクテキ ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

本稿は,地理学においてこれまでほとんど触れられることのなかった風車灌漑について,それが集中的に行なわれた地域を記述し,地域間の比較考察により系統的な整理を試みたものである.その結果, (1) 風車灌漑に用いられた揚水風車は,それぞれの地域の地縁技術によって開発され,構造・材質などに違いがみられること, (2) 風車灌漑の目的は,水田の補給水灌漑が最も重要であったこと, (3) 水田における風車灌漑は1920年代前半~60年代前半の時期に行なわれ,それが実施可能になったのは手押しポンプの出現,商業的農業の進展などによること,一方,それが放棄されたのは機械価格の相対的低下とその購入に当たっての補助金の下付,風車の維持管理労力の不足などによること, (4) 風車灌漑が行なわれた地域は水利に恵まれないため,撥釣瓶により地下水を揚水して灌漑していた地域のなかで,海陸風・湖陸風に恵まれた海岸・湖岸にあり,商業的農業の発達により資本が蓄積されたところであったことなどが明らかになった.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (7)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ