乳癌に対する放射線治療の進歩とHER2阻害薬の適応

  • 酢谷 真也
    Department of Radiology, Keio University Department of Radiation Oncology, Ashikaga Red Cross Hospital
  • 茂松 直之
    Department of Radiology, Keio University

書誌事項

タイトル別名
  • Advances in breast cancer treatment: radiotherapy and anti-HER2 therapy
  • ニュウガン ニ タイスル ホウシャセン チリョウ ノ シンポ ト HER2 ソガイヤク ノ テキオウ

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抄録

乳房温存手術を施行された場合,浸潤癌,非浸潤性乳管癌いずれにおいても基本的に全例で術後照射が推奨されている。乳房切除術後の放射線治療は局所再発率の高い腋窩リンパ節転移陽性例に推奨され,胸壁および鎖骨上窩リンパ節領域に対して照射が行われる。近年,照射技術の進歩により標的体積内の線量分布均一性は向上しており,メタアナリシスにて,術後照射は局所制御率向上のみならず生存率の向上にも寄与することが示されている。一方,乳癌薬物療法の分野では,HER2陽性乳癌において,化学療法へのHER2阻害薬の併用により,術前補助療法として用いた場合には病理学的完全奏効率が,術後補助療法として用いた場合には生存率が向上することが報告されている。現時点では放射線治療とHER2阻害薬併用の長期の有効性および安全性は確立しておらず,左側乳房への放射線治療時には心臓への照射線量に十分注意することが必要である。

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