JCCGとCOG: 小児血液・がん研究の将来へ向けたグローバルな挑戦

  • 中川原 章
    佐賀県医療センター好生館 佐賀国際重粒子線がん治療財団

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説明

わが国における小児腫瘍の臨床研究の歴史は長く,多くは戦後欧米に留学した学究達が帰国後に孤軍奮闘し,その礎を築いてきた.わが国の小児がん臨床研究に最も大きな影響を与えたのは,米国におけるCOG結成へ至る苦闘の歴史であり,欧州のSIOP-Europeの歴史であった.その中で,わが国初の小児血液腫瘍研究グループとして結成されたのが,1969年のTCCSGであり,その後,JCCLSG,KYCCSG,JACLSが立ち上がった.一方,固形腫瘍では,1991年にJPLTが初めて結成され,以後,JWiTS,JESS,JRSG,JPBTC,JNBSGの結成が続いた.しかしながら,小児がんの発生頻度は全がんの1%にも満たず,国からの研究費は極めて限られたものであったため,多くの研究者が大変な苦労と辛酸を舐め,それでも小児がん撲滅を夢見て頑張ってきたのが実情である.小児血液腫瘍研究は2003年にJPLSGとして一本化され,国際的に認められるレベルの小児がん臨床試験体制を組み,すでに多くの実績を挙げてきている.そして遂に,米国COGのように,わが国もすべての小児血液・がん臨床研究グループを統一したJCCGの結成へ向けて,動き出した.ここでは,COGとJCCG結成の歴史を比較し,これからの役割と意義について考察する.

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