髄芽腫治療後の小児10例における知的機能の検討

DOI
  • 上久保 毅
    国立成育医療研究センターリハビリテーション科/発達評価センター
  • 橋本 圭司
    国立成育医療研究センターリハビリテーション科/発達評価センター
  • 清谷 知賀子
    国立成育医療研究センター小児がんセンター
  • 寺島 慶太
    国立成育医療研究センター小児がんセンター
  • 師田 信人
    東京都立小児総合医療センター脳神経外科
  • 荻原 英樹
    国立成育医療研究センター脳神経外科
  • 藤 浩
    国立成育医療研究センター放射線治療科
  • 竹厚 誠
    国立成育医療研究センターリハビリテーション科/発達評価センター
  • 池田 夏葉
    国立成育医療研究センターリハビリテーション科/発達評価センター
  • 松本 公一
    国立成育医療研究センター小児がんセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Study of intellectual impairment after treatment in 10 pediatric patients with medulloblastoma

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説明

【目的】髄芽腫治療後の知的機能について検討したので報告する．<br/>【方法】当院での髄芽腫の治療終了後，2011年7月～2014年11月までに，発達評価センターにおいてウェクスラー児童用知能検査第4版を実施した患児10名を対象とし，後方視的に知的機能について検討した．診断時年齢の中央値は5.0歳，治療終了後から検査実施までの期間の中央値は59.5カ月であった．全症例に腫瘍摘出術および化学療法が，9例に放射線療法が施行されていた．対象10例の言語理解指標（VCI），知覚推理指標（PRI），ワーキングメモリー指標（WMI），処理速度指標（PSI）と全検査IQ（FSIQ）の比較および，経時的評価した5例に対して，その変化を比較した．また水頭症合併例および放射線療法施行例の評価点について検討した．<br/>【結果】対象10例の評価点すべてが70以上であった．中央値は，FSIQ：92.0，VCI：90.0，PRI：97.5，WMI：95.5，PSI：84.5と処理速度指標が最も低値であった．経時的に2回検査した5例の比較および水頭症合併例，放射線療法例の比較では，評価点に統計学的有意差を認めなかった．<br/>【結論】知的機能の推移を評価する際には，全検査IQ， 4指標ばかりではなく，下位検査の評価点にも着目し，その内容に応じた対応方法について，当事者家族をはじめ，教育機関や地域に対して，具体的に情報提供することが求められる．

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