860. 西南日本上部鮮新統産二枚貝 5 種の幼生古生態

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タイトル別名
  • 860. LARVAL PALEOECOLOGY OF FIVE BIVALVE SPECIES FROM THE UPPER PLIOCENE OF SOUTHWEST JAPAN
  • 西南日本上部鮮新統産2枚貝5種の幼生古生態〔英文〕
  • セイナン ニホン ジョウブ センシントウサン 2マイガイ 5シュ ノ ヨウセイ

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抄録

二枚貝類は, 発生の初期に原殻(prodissoconch)と呼ばれる特徴的な殻をつくる。原殻はさらに, 無装飾の原殻I (prodissoconch I)と細かな同心円肋装飾からなる原殻II (prodissoconch II)に区別され, それぞれふ化以前, ふ化後の幼生期に形成される。今回, 西南日本太平洋岸に分布する掛川層群, 宮崎層群, 島尻層群のほぼ同層位(2-3 Ma)から産した二枚貝5種(Glycymeris rotunda, Limopsis tajimae, Oblimopa japonica, Crenulilimopsis oblonga, Venericardia panda)の原殻を観察し, 現生種の資料との比較からそれらの幼生古生態を考察した。検討した5種のうちV. pandaは, 大型の原殻Iを有するものの, 原殻IIを欠くことから, 直接発生型に属すると考えられる。その他の4種は, やや大型の原殻Iと, 明瞭な原殻IIを持つことから, 卵栄養型に属し比較的短い浮遊幼生期を持っていたと推定される。さらにC. oblongaとL. tajimaeについては, より北の地域の標本ほど, 原殻IIのサイズが大きいことがわかった。現生種における水温と関係した幼生生活史のデータや, 後期鮮新世当時における古海洋学的背景からみて, おそらく両種にみられた原殻IIのサイズの地理的変異は, 水温に規制された浮遊幼生期の長さの違いから生じたものと推察される。

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