私立病院における早期胃癌175例の検討

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  • Review of 175 early gastric cancer cases identified in single center

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【目的】東京都内の私立病院において内視鏡検査にて発見された消化器癌に関する発表は少ない。当院では,開院以来30年間にわたり消化器内視鏡検査が行われてきた。今回,症例数の多い胃癌のうち,早期胃癌の内視鏡診断と病理組織の概要について検討した。【対象と方法】1982年2月~2012年1月に当院を来院した有症状者に対し,EGD(esophagogastroduodenoscopy)22,821件が施行された。このうち生検,EMR,ESD例を含め内視鏡と病理組織検査にて早期胃癌と診断された症例を対象とした。【結果】早期胃癌は,開院当初2年間で,EGD施行542件中10例(1.8%)に発見されていたが,2010~2011年では2,243件中11例(0.5%)であった。発見率減少の背景には,30年前は胃疾患が疑われる症例に対して,まず胃X-Pが行われ,この後にEGDを施行することが通常の診断過程であった。しかしながら現在では,内視鏡機器の発達により,EGDを先行することが多いなどが考えられた。早期胃癌は,胃癌393例中175例(44.5%)・186病巣であり,男性に多かった。65~74歳の前期高齢者に多く,部位別ではM 101病巣(54.3%),L 67病巣(36.0%)とM領域が多く注目された。そして小彎,0-Ⅱc,tubular adenocarcinoma,pT1aが多かった。陥凹型は隆起型に比して未分化型胃癌,隆起型では分化型胃癌が有意差を持って多かった。早期胃癌全体からみると,pT1b2が30病巣(27.0%)であった。【まとめ】私立病院の30年間において,消化器内視鏡と病理組織検査で確診された早期胃癌について,実地診療で得られた知見を基に若干の考察を行った。早期胃癌の発見には,内視鏡機器の発達と検者の力量が求められた。そして医療環境としては,検査をしやすくする最新機器の購入や,病床規模に伴う病院の質の向上が重要であると考えられた。

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