抗痴呆薬ドネペジルの経済評価

  • 池田 俊也
    慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室 財団法人医療科学研究所
  • 山田 ゆかり
    慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室
  • 池上 直己
    慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Economic Evaluation of Donepezil Treatment for Alzheimer's Disease in Japan
  • コウチホウヤク ドネペジル ノ ケイザイ ヒョウカ

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説明

抗痴呆薬ドネペジルの経済的価値を評緬するため,マルコフモデルを用いて,軽度・中等度アルツハイマー型痴呆患者に対するドネペジル治療の費用-効果分析を実施した。分析の立場は支払い者の立場とし,費用は診療報酬点数および介護保険における在宅の給付限度額を参考に推計した。薬剤の有効性データは国内臨床第III相試験の成績を基にしたが,わが国における自然予後のデータは入手できなかったため米国の疫学データを用いた。薬剤の有効性,自然予後ならびに各病態における平均QOLスコアを組み合わせて質調整生存年(QALY)を算出し, 効果指標とした。<BR>2年間を時間地平とした分析では,軽度・中等度アルッハイマー型痴呆患者に対するドネペジルの投与により,既存治療に比べて患者の健康結果が向上するとともに,医療・介護費用が節減されることが明らかとなった。但し,ドネペジルの長期的効果やわが国におけるアルッハイマー型痴呆患者の予後に関するデータが不充分であることから,今後,これらのデータが蓄積された際には本分析結果の再評価を行うことが望ましいと考えられる。

収録刊行物

  • Iryo To Shakai

    Iryo To Shakai 10 (3), 27-38, 2000

    The Health Care Science Institute

被引用文献 (5)*注記

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