薬剤経済学研究の質をあげるために:バイアスを避けるためのガイドラインについて

  • 大石 明
    ジョージタウン大学医学部メディカルセンター臨床経済学研究所 国立霞ケ浦病院内科(1998年4月現在)
  • Schulman Kevin A.
    Clinical Economics Research Unit, Department of Medicine,Georgetown University Medical Center

書誌事項

タイトル別名
  • Improving Quality of Pharmacoeconomic Studies: Guidelines for Avoiding Bias

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説明

新しい治療法あるいは新しい医療技術の経済的分析は国を問わずますます重要な課題となっている。薬剤経済学の研究は製薬会社のみでなくアカデミックな研究者によっても行われるべきである。しかし,現在の状況では自社製品の経済的評価をする場合,多くはその製薬会社がスポンサーとなっているのが実状である。このように自社がスポンサーになること自体,研究者を私利私欲に走らせる可能性があり研究方法や結果にバイアスを生じさせかねない。しかしながら, このようなバイアスは研究者とスポンサーとの関係を綿密に定義をすることにより対処可能である。またファーマコエコノミクスの研究を掲載する雑誌が金銭関係を公表する方針を遵守することによっても回避することができる。さらに,臨床研究を用いた質の高い経済的分析のデータが生み出されれば,経済的分析のためのモデルに伴いがちなバイアスを起こしうる多くの原因を除くことが可能である。本論文では経済的分析を扱った論文の質を上げるたあに経済的研究のためのガイドラインを作成する試みを紹介し分析する。一つはNew England Journal of Medicineの費用対効果(cost-effectiveness)分析研究の投稿に対する方針である。もう一つはプロジェクトチームにより自発的にまた倫理的に打ち出された医療技術の経済的分析における原則である。さらに企業の宣伝のための利用と日本の利用者が興味を持つであろう比較研究のための証拠の基準に焦点を当てたFDAによるガイドラインの草稿についても解説した。政策に関わる人々にとって役に立っためには,経済的データは信用があり信頼できるものでなければならない。真に競争のある薬の市場を整えるためにも,われわれは製薬会社が自社製品のバイアスのかからない評価に興味を持てるような体制を作るよう努力しなければならない。

収録刊行物

  • Iryo To Shakai

    Iryo To Shakai 8 (1), 25-39, 1998

    The Health Care Science Institute

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