オーストラリア天日塩の結晶中および結晶表面の不純物について

  • 増沢 力
    The Odawara Salt Experiment Station, Japan Salt Public Corporation
  • 松本 多恵子
    The Odawara Salt Experiment Station, Japan Salt Public Corporation

書誌事項

タイトル別名
  • Impurities <I>on</I> and <I>in Crystals</I> of Australian Solar Salts
  • オーストラリア テンジツエン ノ ケッショウ チュウ オヨビ ケッショウ ヒョ
  • Studies on Mother Liquid in Salt-Manufacturing Process (Part 24)
  • 製塩における缶内液に関する研究 (第24報)

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説明

ナーストラリア産天日塩の不純物を結晶内部と結晶表面とに分類し, その存在形態を検討して次の結果を得た.<BR>1.昭和44~46年度輸入した7天日塩田の生産塩について専売公社各支部局で行なった成分の分析結果では, 水分;2.3~4.4%, Mg++; 0.05~0.11%, Ca++; 0.05~0.23%, K+; 0.01~0.03%であつた. この分析結果から液組成を推定すると, K2; 0.7~2.6Mg; 10~27, SO4; 2~9mol/1,000mol H2Oとなった.<BR>2. シャークベイ, レークマクレオドおよびポートヘッドランド3天日塩田生産塩の結晶内部の不純物を検討した結果, 水分; 0.14~1.6%, K+; 0.006~0.024%, Mg++; 0.004~0.05%, Ca++; 0.009~0.026%を含んでいた.<BR>3. 推定した結晶内部の不純物濃度は結晶表面の値より大きかった. これは塩田における洗浄のため結晶表面の不純物濃度が小さくなったためと考えられる. また, レークマクレオドの試料は結晶内部にK2SO4またはその複塩を含んでいると推測された.<BR>4. 結晶内部の不純物の全不純物に対する割合は, K+; 30~90%, Mg; 10~50%, Ca++; 20~40%であり, この値が完全洗浄により除去できる不純物量の限界と考えられた.<BR>5. 昭和44~46年度輸入したレークマクレオドとポートヘッドランドの生産塩それぞれ8, 10点について同様の検討を行なつた結果, それらの試料の内部にはそれぞれH2O; 0.93%, 1.84%, K+; 0.012%, 10.022%, Mg++; 0.023%, 0.063%, Ca++; 0.013%, 0.011%含んでいた. ポートヘッドランドの不純物はほぼ海水の不純物組成と同じであり, レークマクレオドの不純物はややSO4の割合が多かった.<BR>6. この結晶内部の水分は, 液泡として含まれており, 液泡の多い結晶は外観が不透明であった. ポートヘッドランドの試料の結晶内部にレークマクレオドの約2倍の水分を含んでおり, 濃縮の進んだ母液から結晶を得ていると推定された. これは結晶内部の不純物濃度が高いことに対応した.

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