逆浸透法酢酸セルロース膜における溶質および水の膜透過におよぼす自由水と結合水の性質

  • 小川 善広
    Department of Chemistry, Faculty of Science, Science University of Tokyo
  • 鈴木 彰
    Department of Chemistry, Faculty of Science, Science University of Tokyo

書誌事項

タイトル別名
  • The Nature of Free and Bound Water in Water and Solute Permeation of Cellulose Acetate Membranes in Reverse Osmosis
  • ギャクシントウホウ サクサン セルロース マク ニ オケル ヨウシツ オヨビ

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抄録

水および溶質の膜透過におよぼす, 膜内の自由水および結合水の役割を調べた.<BR>キャスト液中のホルムアミドの重量パーセント (F/CA) の異なる6種のManjikian-タイプ酢酸セルロース膜を用い, これら6種の膜の輸送係数 (Lp,σ,P, およびLpπ) を逆浸透実験によって求めた. 膜の有する自由水および結合水量を, 示差走査熱量計 (DSC) を用いて求めた. 輸送係数Lp, および-Lと自由水および結合水量との関係を求めた, さらにKatchalskyとCurranの方法に従って,Lpを, 単位圧力における膜を透過する水の速度νw/△Pで表し, -L を単位圧力における, 溶質と水の速度差 (νws)/△Pによって表した.<BR>Lp (=νw/△P) は, F/CAの値が2までは結合水量に比例し, 2以上において自由水量と関係があった.<BR>-L (=(νws) /△P) は, 結合水量と関係があることが認められた.<BR>膜透過水が結合水に依存している領域 (F/CAが2以下) において, 塩化ナトリウムの膜透過量の増加は小さく, 結合水は溶質の膜透過にほとんど関与しないと考えられる.<BR>膜透過水が, 自由水に依存している領域 (F/CAが2以上) において, 塩化ナトリウムの膜への分配が増加し, それにともなって塩化ナトリウムの膜透過量が著しく増加することが認められた.

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