サンゴ骨格中のフッ素含量と海水中の炭酸イオン濃度の関係

DOI
  • 田中 健太郎
    Department of Chemistry, Biology and Marine Science, University of the Ryukyus
  • 大出 茂
    Department of Chemistry, Biology and Marine Science, University of the Ryukyus

書誌事項

タイトル別名
  • Fluoride Content in Coral Aragonite Associated with Carbonate Concentration in Seawater

抄録

サンゴ骨格 (あられ石) への海水からのフッ素の共沈を規定する因子を解明するために, イオンクロマト法を使って, ポナペ島 (ミクロネシア), カンカオ島 (タイ), セブ島 (フィリピン), 水釜, ルカン礁 (沖縄県), 堺港 (和歌山県) から採取したサンゴ試料中のフッ素含量を定量した, サンゴのフッ素含量の平均値は堺港 (和歌山) のサンゴが一番高く, 955ppmを示した, そして, 沖縄 (815ppm), セブ (725ppm), ポナペ (725ppm), カンカオ (677ppm) の順に平均値は減少する, この実験データはサンゴ骨格中のフッ素含量は生息海水温の減少とともに増加する温度依存性を示唆するものである.<BR>サンゴ骨格中へのフッ素共沈のプロセスとして, 次のイオン交換反応式を考える:<BR>CaCO3(s)+2F-(aq)=CaF2(s)+CO32-(aq).<BR>この反応の平衡定数 (KF) は次のように書ける:<BR>KF= [CaF2](s)[CO32-] (aq)/[CaCO3](s)[F-] 2 (aq).<BR>平衡定数 (KF) と海水中の炭酸イオン濃度は温度に対する変数である. 平衡定数の絶対温度に対する変化は小さいので無視すると, 上式はサンゴのフッ素含量は海水中の炭酸イオン濃度に反比例することを示す可能性があり, 本研究で提出したサンゴ骨格中のフッ素含量のデータはこの可能性を支持する. 本研究では, サンゴ骨格へのフッ素の共沈に関する温度の影響が海水中の炭酸イオン濃度の変化とリンクし, 起こる可能性について議論した.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205451855488
  • NII論文ID
    130004675422
  • DOI
    10.11457/swsj1965.61.118
  • COI
    1:CAS:528:DC%2BD2sXktVWgsrc%3D
  • ISSN
    03694550
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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