口唇, 口蓋裂児を持つ家族, とくに母親の心理
書誌事項
- タイトル別名
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- Investigation of the Psychological Status of Families, Especially of Mothers of Children with Cleft Lips and Palates
- III. Psycological Changes in Patients with Cleft Lips and Palates after Primary Repair
- III.手術施行による心理変化
抄録
口唇, 口蓋裂の治療において, その内容をより良い形で進めていくために, 母親および家族の患者に対する認知的, 感情的側面ならびに行為的側面の変化について, 日常生活において最も患者と密着度の高い母親に対し, 時系列的変化の視点より, 各治療段階において自由記述方式による質問調査を行っているが, 今回は口唇裂, 口蓋裂手術後について, 口唇裂(Cleft lip)104名, 口蓋裂(Cleft palate)71名, 口唇・口蓋裂(Cleft lip and palate)218名, 計393名について集計を行い, 以下の如き結論を得た.<BR>1.手術が施行されることにより, 母親および家族の心理的圧迫は大幅に軽減される.この傾向は, 口唇裂手術においてとくに著明であった.<BR>2.母方の祖父母は, 術前より患者の母親に対して協力的で, 術後も著しい変化はみられなかった.<BR>3.父親の姉妹の中で, 術前より利己的で, 患者の母親に対して非協力的な場合は, 術後もあまり変化はしていなかった.<BR>4.近所の人々の態度は, 比較的無関心であり, 今だにこうした疾患に対する啓蒙は, 充分とはいえないことが推測された.<BR>5.母親の心配事項は, 術後においても容貌に関するものが多く, 一次形成手術後は一応安心するものの, 完全でないことに対する不安が残るものと思われる.また, 口蓋裂単独群では手術後も言語に対する不安をもつものが多く, 術直後に言語判定のできぬことが原因と思われる.また, 歯列矯正, 顎の成長といった口腔機能の改善への不安をもつものも多く, 手術後は, これらの母親の不安に対する心理的対応が重要だと思われた.
収録刊行物
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- Journal of Japanese Cleft Palate Association
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Journal of Japanese Cleft Palate Association 11 (1), 94-104, 1986
Japanese Cleft Palate Association
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205452450944
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- NII論文ID
- 130004586222
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- ISSN
- 03865185
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可